理事長就任のご挨拶

 この度、先代理事長である吉尾隆先生の意思を引き継ぎ、日本精神薬学会の二代目理事長を拝命することになりました黒沢雅広と申します。吉尾隆先生とは、精神科臨床薬学研究会(PCP研究会)が発足する以前に、当時、吉尾隆先生が薬剤部長を務められていた桜ヶ丘記念病院で、私が精神科薬剤師業務の研修をしたとき以来のお付き合いがあり、現在に至っております。その後、PCP研究会が発足し、私は東北ブロック世話人として、吉尾隆先生の背中を見ながら「精神科薬剤師の育成」を目標に、世話人一丸となって取り組んで参りました。
 私事ですが2020年1月に、20年ぶりに母校である昭和大学薬学部病院薬剤学講座の教育職員として烏山病院に赴任し、現在は薬学部の学生に「精神医療実習」を指導しております。地方の精神科病院では、未だに薬剤師不足が深刻でありますが、その根底には薬剤師の精神科医療に対する誤解があると感じております。精神医療実習を学んだ学生からは、「精神科に対するイメージが変わった」という感想が聞かれており、学生時代から正しい精神科医療を教育することが、日本の精神科医療に対する誤解や間違ったイメージを払拭し、その結果として今後の薬剤師不足の解消にもつながると考えております。  このような視点からも、当学会ではこれまでに取り組んできた様々な事業(学術集会や研修会、学会認定制度、広報活動など)を継続して取り組んでいくと共に、薬学生が精神科医療の真実を学ぶことができる教材の開発や、当学会の活動を通じて一般社会における精神科へのイメージを変えるための新たな取組みを行っていく所存です。
 当学会設立の趣旨「精神科領域の薬物治療及び向精神薬開発の進展を鑑み、臨床現場の薬剤師と基礎研究に従事する薬剤師の協働により、精神領域における薬剤師の専門性を向上させ、精神科における薬物治療の適正化をはじめとした、精神薬学の進歩発展を図る」を今後も大切にしながら、当学会を通じて、精神科医療に関わる全ての薬剤師の協働をさらに発展させていく所存です。
 今後とも皆様方のご理解とご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 日本精神薬学会 理事長
昭和大学薬学部病院 薬剤学講座 准教授
昭和大学附属烏山病院 薬局長

黒沢 雅広